HOME > ドライブワーク通信 > トラック運送業界の「働き方改革」とは
ドライブワーク通信
トラック運送業界の「働き方改革」とは
近年、様々な業種で話題になっている働き方改革。運送業界も例外ではありません。
これまでトラックドライバーは、平均的な職業と比較しても長時間労働、低賃金の傾向があり、「2割長く、2割長い職業」と言われてきました。
そこで全日本トラック協会では、今年3月に「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」を制定。罰則付き時間外労働規制が適用開始される2024年度までに、「時間外労働960時間を超えるトラック運転手が発生する事業者をゼロにすること」を達成目標としました。
本記事では、このアクションプランに盛り込まれた、4つの指針について解説していきます。
業務の効率化を行い、時間あたりの労働生産性を高めていくことは、時間外労働を減らす上で必要不可欠です。具体的なアクションとしては、アシスト機器の活用や時間管理の徹底による荷待ち時間・荷役時間の削減。高速道路の有効活動。市街地での納品業務を短時間で行うため、駐車対策の見直しや、物流に配慮したインフラ整備の要望も行っていきます。またSA・PAなどを拠点とした中継輸送についても拡大予定です。
各事業者の経営改善が、時間外労働の削減に繋がります。その際欠かせないのが、事業の担い手であるドライバーの待遇改善です。
賃金向上や週休2日制を導入を実現できるよう、経営規模の拡大を行い、原価計算や運賃、料金の設定も見直していきます。
また車両の走行時間や速度などを可視化するデジタコの購入費などの機器に対して、購入の補助を行っていきます。
平成2年に運輸料金・運賃の設定が規制緩和されてからというもの、業界内での競争は激化。その結果、運輸業界では、過度な値下げや荷主の都合による長時間の荷待ちなど、適正とはいえない条件での取引であっても受け入れざるを得ないという状況が長く続いてきました。これは長時間労働の増加や労働蔵件の悪化に直結するばかりでなく、運輸業界そのものの存続に関わる問題です。日本経済が回復傾向にあるこの機会に、荷主をはじめとする関係各所との議論をより深め、適正な取引を推進していく必要があります。
運送業界における長時間労働の背景には、深刻なドライバー不足があります。人材確保のためにも、賃金水準の改善や休日増加など、求職者にとって魅力的な雇用条件にしていくことは必要不可欠です。キャリアパスの仕組みづくりを行い、若者が将来性を見出せる業界にしていくことも大切です。
また免許取得の支援や、教育体制の見直しなども行い、未熟練者が早期に活躍できる環境を整えていきます。さらには育児休暇や子育て環境の整備、時短勤務の導入なども推進することで、これまで運送業界には少なかった女性や、高齢者にとっても働きやすい環境を作り上げていきます。
ネット通販は近年ますます普及し、運送業が持つ社会的インフラとしての側面は日に日に増しています。そんな運送業界における働き方改革は、業界内のみならず、荷主や着荷主、国、自治体など、社会全体の理解や協力が欠かせません。
運送業界の働き方を改善することは、長い目で見て社会全体に大きなメリットがあるといえるでしょう。
文/BUY THE WAY lnc.
-
消費者庁、EC事業者に対し「送料無料」の表示の見直しを要求
2023年12月19日、消費者庁 はEC事業者などに対し、「送料無料」表示の自主的な見直しを求める旨を発表しました。この要求の背景にあるのが、背景には、2024年4月以降に起こるとされている「物流の2024年問題」です。 -
引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)とは?概要と取得の手順を紹介
「消費者に選ばれる引越事業者でありたい」「引越作業の質の高さをアピールしたい」引越事業者のなかには、上記のような悩みをお持ちの引越事業者の方もいるのではないでしょうか。多くの消費者は、できるかぎり信頼のおける引越し業者に依頼したいと考えるものです。そこで効果的なのが、「引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)」の取得です。全日本トラック協会(全ト協)による認定制度なので、取得すれば客観的に引越作業の質の高さをアピールすることができます。本記事では、引越安心マークの概要と、取得手順について解説します。取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください 。 -
事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた、全日本トラック協会の取組状況が公表
令和5年11月17日、「事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた全日本トラック協会の取組状況 が発表されました。本記事では、国土交通省が掲げる「事業用自動車総合安全プラン2025」と、その達成のために全日本トラック協会が定めた「トラック事業における総合安全プラン2025」の概要と現状について、それぞれ解説します。 -
「配達NAVITIME」が宅配トラックにも対応
2023年12月7日、株式会社ナビタイムジャパンの提供するスマートフォンアプリ「配達NAVITIME」は、宅配トラック(普通貨物自動車・準中型貨物自動車)に対応しました。同アプリでは、ユーザーが登録した車両情報に基づいた最適なルート案内や、規制情報の受信などが可能です。本記事では、配達NAVITIMEの、宅配トラックに関連する主な機能と、料金体系について解説していきます。 -
過積載防止の啓発活動が各地で実施
過積載防止を啓発する運動が各地で行われています。令和5年10月24日には、広島県運輸支局 や広島県警などが参加する広島過積載防止対策会議によって過積載違反車両の取締強化や、啓発活動が実施されました。また、鹿児島過積載防止対策連絡会議では10月1~31日に「過積載絶滅運動 」を実施、四国4県 では11月1日~30日が「過積載防止強化月間」に定められています。本記事では、過積載の危険性について改めて振り返ったうえで、違反した場合の罰則についても紹介していきます 。