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ドライブワーク通信
トラックドライバーの熱中症対策
本格的に夏がやってきました。 夏場にトラックを運転する際、忘れてはいけないのが、熱中症対策。厚生労働省の発表によると、2017年に職場における熱中症で死傷した人の人数は、建設業、製造業についで、運送業が3位となっています。 また運転中に熱中症を発症すると、周囲を巻き込んだ大事故に繋がる危険もあります。ドライバーだけではなく、事業所や会社単位で、しっかりとした対策を取っていく必要があります。
・長時間の運転の際
トイレに行きにくいことを考えて水分補給を避けたり、アイドリングストップの観点から冷房を避けていると、熱中症の原因となります。
・荷積み、荷降ろし、倉庫内作業の際
夏場の荷積みや荷降ろしは高温の環境で行われることが多く、熱中症の原因になります。
・ひとりでの作業時
運転中はひとりで居ることが多いため、熱中症にかかっても周囲に指摘されることがありません。
「体調が悪いが、これくらいなら我慢できるだろう」と無理をした結果、発見が遅れ、重症化や事故に繋がるケースがあります。
熱中症の表情は、軽度なものから順に、Ⅰ度~Ⅲ度に分類されています。
Ⅰ度
・めまい、失神
・筋肉痛、筋肉の硬直
・大量の発汗
Ⅱ度
・頭痛、不快感、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
Ⅲ度
・意識障害、痙攣、運動障害など
・高体温
めまいや大量の発汗に気づいたら、一旦作業を中断し、身体を冷やしましょう。
損保ジャパン日本亜鋼では、運送事業者が行うべき熱中症対策を、6つの項目にまとめて紹介しています。
1.WBGT測定器の使用
WBGT(暑さ指数)とは、熱中症の予防を目的として作られた指標です。「気温」「温度」「日射・輻射など周辺の環境熱」の3つの要素から算出されます。WBGTは、市販のWBGT測定器を使用することで簡単に測ることができます。WBGT測定器の価格は数千円程度です。
2.熱への順化
順化とは、時間を掛けて身体を環境に慣らしていくことです。普段から適度な運動や、半身浴やサウナなどを組み合わせて行い、身体を熱に慣らしていくことで、熱中症の予防に繋がります。厚労省では、7日以上をかけ、徐々に身体を熱に順化させていくことを推奨しています。
3.適切な、塩分の補給
こまめな水分補給は、熱中症対策の中でも最も基本的なものです。具体的な目安としては、スポーツドリンクや経口補水液などを、20~30分ごとに、カップ1~2杯ずつ摂取することが望ましいとされています。
4.健康管理
平時に仕事をする際には影響のない疾患であっても、高温時には熱中症のリスクを高めるものがあります。点呼や面接の際にドライバーの健康状態を把握し、必要があれば医師に相談するなどの対策が必要です。糖尿病、高血圧、心疾患、腎不全、精神・神経等の疾患、広範囲の皮膚病、風邪、下痢、肥満などは特に注意する必要があります。
5.熱中症対策グッズの活用
保冷剤や氷枕、タオル、冷却スプレー首や頭に貼り付ける冷却シートなど、いざという時に身体を冷やせるグッズを常備しておきましょう。また、作業着を浸透性や通気性に優れたクールジャケットに替えたり、「蓄冷式冷房装置」「パーキングクーラー」など、エンジンを切っている際にも使用できる冷房を導入することも有効な対策です。
6.服装や作業時間、作業環境の改善
高温下での長時間労働は熱中症の原因になります。管理者はこの事を頭に置き、高温時は作業時間を短縮したり、作業環境の改善に取り組むといった姿勢を持つことが大切です。
熱中症は発症した直後の対応が大切です。症状が出た場合はすぐに作業を止め、身体を冷やして水分を補給してください。症状が重い場合は救急車を呼び、緊急で医療にかかることが最善の対処法になります。自分の体調を最優先しましょう。 「熱中症は、放置すると死や大事故に直結する」という意識を、ドライバーだけでなく、事業者、ひいては業界全体で共有することが大切です。
文/BUY THE WAY lnc.
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