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平成30年、1~9月の死亡事故統計が発表

2018年12月6日。全日本トラック協会は平成30年1~9月間に発生した、トラックが第一当事者になった交通事故の統計分析結果を発表しました。

事故件数は減ったものの目標には未達

調査の結果によると、期間中の死亡事故件数は171件。業務用トラック1万台あたりの事故件数は1.7件でした。前年の同じ時期では189件の死亡事故が発生していたので、約1割の減少があったことになります。

しかし全日本トラック協会が前年に策定した「トラック事業における総合安全プラン2020」では、トラック1万台あたりの事故件数を1.5件と設定していました。9月末の時点でこの目標値には届きませんでした。なので協会や各自動車、個々のドライバーには、今後さらなる改善が求められるといえます。

「慣れ」が最大の大敵。直進中やベテランこそ注意を

シチュエーションで見ると、最も多かったのは等速での直進中で、全171件の死亡事故のうち6割以上を占める結果でした。次いで多かった左折時、右折時、発進時などはいずれも1割ほど。複雑な操縦を操作を必要とする場面よりも、動作が一定で気が緩みやすい等速での直進中のほうが、注意力が散漫になりやすいために危険の察知が遅れ、大きな事故に繋がりやすいのだと分かります。

事故を起こした運転手の免許取得年数で見ると、取得から10年以上経っているドライバーがなんと9割以上。ドライバーの高齢化を加味しても大きな数値でした。常にある程度の緊張感を持って運転する若手ドライバーと比べて、慣れていることで緊張感の薄れてしまったベテランドライバーのほうが、事故の当事者になりやすい傾向が数値に表れています。

安全運転をする上では、気の緩みがいちばんの大敵。「なんてことのない直進中だから」「運転に慣れているから」と油断することなく、協会や各事業者、ひとりひとりのドライバーが、適宜適切な注意喚起を行っていく必要があります。

各データから見えてくる死亡事故の姿

事故の内容に目を向けてみると、車両同士の事故が最も多く、全171件の死亡事故のうち約6割に当たる100件を占めていました。次いで多かったのが人対車の事故で57件。車両単独での事故も14件発生しています。車両同士の事故で多く見られたのは、駐・停車中の追突事故、左折時の衝突事故、出会い頭の衝突事故などでした。

また車両区分で見ると、大型車が97件と、こちらも死亡事故全体の約6割。中型は36件、準中型で22件、普通で4件と、車両の大きさが死亡事故の多さに比例しています。当たり前ですが、大きな車両ほど、事故を起こした際の死亡率が高くなることを意識しなければなりません。

時間帯では、交通量が落ちる深夜帯においても、死亡事故の件数が日中とそれほど変わらない点に注目。全体の約4割が、22時~6時の深夜帯に発生しています。

これには暗くなり視界が悪いという要因もありますが、それ以上に、深夜に運転することによる、運転手の疲労や睡眠不足に起因する一面もあります。深夜の運転が必要な場合、事業者は運転手の健康管理を本人任せにせず、健康状態や睡眠の状態をより繊細にケアしていかなければなりません。

交通事故、特に業務中の死亡事故は、被害者だけではなく、加害者となった運転手や事業所にも、計り知れない被害を与えます。安全対策にやりすぎはありません。決して事故を軽く見ることなく、業界一丸となり、引き続きさらなる対策を続けていきましょう。

文/BUY THE WAY lnc.

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