HOME > ドライブワーク通信 > 「トラック運送業界の環境ビジョン2030」が発表 カーボンニュートラルに向けた取り組み目標
ドライブワーク通信
「トラック運送業界の環境ビジョン2030」が発表 カーボンニュートラルに向けた取り組み目標
このビジョンは、日本政府がかかげる2050年の「カーボンニュートラル」達成に向け、トラック運送業界全体が2030年度時点までに目指すことをまとめたものになります。
カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることです。排出量を減らし、それでも排出せざるを得ない分は植林などで吸収量を増やすことで、プラスマイナスゼロにするのです。
日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。そして、その中間目標として、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%(2013年比)削減することを宣言しています。
カーボンニュートラルを実現するためには、業種を問わず、社会全体で地球温暖化対策に取り組む必要があります。トラック業界も例外ではありません。
温室効果ガスのうち、もっとも多く排出されるのがCO2(二酸化炭素)です。2019年度に日本が排出したCO2(11億800万トン)のうち、約2割(2億596万トン)が運輸部門から排出されており、さらにそのうちの2割が営業用トラックからの排出となっています。
全日本トラック協会では、トラック業界がカーボンニュートラルを目指すための指針として、「トラック運送業界の環境ビジョン2030」を策定しました。
トラック運送業界の環境ビジョン2030では、各事業者が無理なく取り組めるよう、3段階のメニューに分けて行動例が示されています。
▽A.「はこぶ」でCO2削減
運送事業を推進するうえで取り組む地球温暖化対策メニューです。各事業者はこの「A」のメニューに重点を置きつつ、余裕がある場合はさらに「B」「C」のメニューにも取り組むこと推奨されています。具体的な取り組みは以下のとおりです。
- ・環境性能に優れた次世代トラックの導入
- ・エコドライブの推進
- ・アイドリングストップの推進
- ・エコドライブ管理システム関連機器の導入
- ・輸送効率家の推進
- ・整備点検の徹底
▽B.「事務所」でCO2削減
運送事業以外で取り組むCO2削減のメニューです。具体的な行動例は以下のとおりです。
- ・事業所などでの節電
- ・移動にかかわるエネルギーの削減
- ・グリーン調達の推進
- ・植林事業の推進
▽C.「みんな」で環境対策
運送事業を推進する上で取り組む、「A」のメニューよりもさらに踏み込んだ環境対策のメニューです。具体例として挙げられているものは以下のとおりです。
- ・廃棄物の削減
- ・資源リサイクルの推進
- ・騒音対策
- ・環境教育の推進
- ・社会貢献の取り組み推進
トラック運送業界の環境ビジョン2030では、メインとなる目標が1つと、それに連なる3つのサブ目標が設定されています。
▽3つのサブ目標
メイン目標に連なるサブ目標としては、以下の3点が設定されています。
- ・1.車両総重量8トン以下の車両について、2030年における電動車の保有台数を10%とする
- ・2.各事業者が自社の車両のCO2排出総量、またはCO2排出原単位を把握することを目指す
- ・3.全日本トラック協会と全都道府県トラック協会が共通で取り組む「行動月間」を設定する
文/BUY THE WAY lnc.
-
消費者庁、EC事業者に対し「送料無料」の表示の見直しを要求
2023年12月19日、消費者庁 はEC事業者などに対し、「送料無料」表示の自主的な見直しを求める旨を発表しました。この要求の背景にあるのが、背景には、2024年4月以降に起こるとされている「物流の2024年問題」です。 -
引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)とは?概要と取得の手順を紹介
「消費者に選ばれる引越事業者でありたい」「引越作業の質の高さをアピールしたい」引越事業者のなかには、上記のような悩みをお持ちの引越事業者の方もいるのではないでしょうか。多くの消費者は、できるかぎり信頼のおける引越し業者に依頼したいと考えるものです。そこで効果的なのが、「引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)」の取得です。全日本トラック協会(全ト協)による認定制度なので、取得すれば客観的に引越作業の質の高さをアピールすることができます。本記事では、引越安心マークの概要と、取得手順について解説します。取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください 。 -
事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた、全日本トラック協会の取組状況が公表
令和5年11月17日、「事業用自動車総合安全プラン2025」達成に向けた全日本トラック協会の取組状況 が発表されました。本記事では、国土交通省が掲げる「事業用自動車総合安全プラン2025」と、その達成のために全日本トラック協会が定めた「トラック事業における総合安全プラン2025」の概要と現状について、それぞれ解説します。 -
「配達NAVITIME」が宅配トラックにも対応
2023年12月7日、株式会社ナビタイムジャパンの提供するスマートフォンアプリ「配達NAVITIME」は、宅配トラック(普通貨物自動車・準中型貨物自動車)に対応しました。同アプリでは、ユーザーが登録した車両情報に基づいた最適なルート案内や、規制情報の受信などが可能です。本記事では、配達NAVITIMEの、宅配トラックに関連する主な機能と、料金体系について解説していきます。 -
過積載防止の啓発活動が各地で実施
過積載防止を啓発する運動が各地で行われています。令和5年10月24日には、広島県運輸支局 や広島県警などが参加する広島過積載防止対策会議によって過積載違反車両の取締強化や、啓発活動が実施されました。また、鹿児島過積載防止対策連絡会議では10月1~31日に「過積載絶滅運動 」を実施、四国4県 では11月1日~30日が「過積載防止強化月間」に定められています。本記事では、過積載の危険性について改めて振り返ったうえで、違反した場合の罰則についても紹介していきます 。
▽メイン目標:2030年のCO2排出原単位を、2005年度比で31%削減する
メイン目標としては、2030年時点でのCO2排出原単位を、2005年比で31%削減することを掲げています。CO2の排出源単位とは、輸送量(トンキロ)あたりの燃料使用量のことです。
一般的に、輸送量が増えればCO2の排出量も多くなりますが、輸送量そのものはトラック業界がコントロールできるものではありません。一方で、エコドライブや輸送効率化などに取り組み、輸送量あたりのC02排出量を減らすことができれば、その減少分はトラック業界の努力によるものだと評価することができるのです。
一方で、排出量そのものについても、参考値として検証していくとされています。