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フェリシモ、再配達・置き配についての意識調査を実施 2024年問題を見据え

2024年4月6日~12日、通販大手の株式会社フェリシモ(以下:フェリシモ)は、「物流の2024年問題」まで1年を切ったことを受け、同社のサービスの会員に対して「再配達・置き配についての意識調査」を実施。4月20日にその結果を公表しました 。

物流業界における2024年問題とは

働き方改革関連法案により、2024年4月1日以降、トラックドライバーをはじめとする自転車運転業務における、年間時間外労働時間の上限が960時間となります。これは現行の1,188時間よりも約2割減 となります。

あくまでもトラックドライバーの健康や生活を守るための措置ではあるのですが、ただでさえ人手不足のトラック業界で1人あたりの労働時間を削減することについて「従来どおりの配達ができなくなるのではないか」「物流が崩壊してしまうのではないか」と危惧する声も多くあがります。

このように、2024年1日の法改正によって起こる、物流にかかわる問題の総称を「2024年問題」と呼びます。

2024年問題の対策にもなる「置き配」の活用

2024年問題を考えるにあたり、注目されるポイントのひとつに宅急便の再配達の削減があります。

ネット通販の普及に伴い、宅配便の取扱個数は年々増加の傾向にあります。国土交通省の発表によると2021年度の宅急便の取扱個数は約49億5,000万個でした。2012年の時点では約35億4,000万個でしたから、10年間で約14億個増えていることになります。

また、2021年における宅配便の再配達率は、11.2~11.9%で推移していました。つまり約50億個の荷物のうち、約5億個は再配達されていたということになります。再配達は配達の二度手間となるため、トラックドライバーや事業者にとっては大きな負担となっています。

トラックドライバー1人あたりの稼働時間が少なくなる2024年問題においても、まずはこの再配達時間から削っていくことが非常に重要です。再配達の削減には、トラックドライバーや事業者のみならず、宅配便を受け取る一般ユーザーの行動変容が不可欠です。再配達削減に向け、一般ユーザーにできる対策のひとつが、置き配の利用です。

フェリシモ「再配達・置き配についての意識調査」概要

今回フェリシモがおこなった調査の概要は以下のとおりです。

調査名 フェリシモ「再配達・置き配についての意識調査」
調査目的 会員の「再配達」に対する意識調査と「置き配」の利用度を把握
調査対象 フェリシモの会員
調査方法 インターネット調査
調査期間 2023年4月6日~4月12日
有効回答数 16,006件
回答者属性比率 ●年代:10~40代:38%、50、60代:60%、70代以上:2%
●性別:主に女性
●職業:会社員(正社員・契約社員)33%、パート・アルバイト27%、専業主婦23%など
調査結果

今回、フェリシモが発表した調査結果は以下のとおりです。

▼宅配便の受け取り頻度が増えた人は47%

「宅配便での受け取り頻度が1年前よりも増えたか減ったか」という質問に対しては、「とても増えた」「少し増えた」と回答した人が約半数の47%でした。増えた理由について複数回答で訪ねたところ「ネット通販での買い物が増えた」が76%と最も多く、2番目に多かった「ネットオークションやフリマアプリでの個人間取引が増えた」は10%にとどまりました。

▼再配達の頻度が多い人は11%

「ふだん宅配便は1回で受け取れていますか」という質問では、「1回では受け取れず再配達してもらうことの方が多い」が10%、「ほとんど1回では受け取れない」が1%となり、約11%の人が普段1回で受け取れていないことがわかりました。

▼再配達対策にしていることは「事前の日時指定」が最多

「宅配便を1回で受け取るためにしていること」について複数回答で質問。上位4つの解答は以下のとおりで、置き配を活用している人は13%でした。

  • 1.日にちや時間帯が事前指定できる荷物はしておく:32%
  • 2.配達予定日・時間帯に在宅しておく:23%
  • 3.配送状況の通知メールサービスや配送会社のアプリを活用している:16%
  • 4.置き配を活用している:13%
▼再配達問題に関心がある人は88%

「宅配便における再配達が社会的な問題となっていることを知っていますか」という質問については、「知っているし関心がある」が88%で、それ以外の解答は12%でした。

▼「置き配」利用理由の1位は「配達員の負担を減らせる」

「置き配で今までに荷物を受け取ったことがありますか」という質問では、63%が「受け取ったことがある」と解答。置き配を利用する利用を複数選択式で訪ねると「配達員の負担を減らせる」が25%で最も多く、「不在で受け取れないことが多い」が17%、「在宅して待っているのが面倒」が16%と続きました。

今回の調査結果から、約半数の人は過去1年間で受け取った宅配便の個数が増え、その背景にはネット通販のさらなる普及が有ることがわかります。また、「再配達の頻度が多い人の割合」「再配達問題について知らない、あるいは関心がない人の割合」はいずれも11~12%となっており、これらの数値は国土交通省の調査による再配達率とも重なります。

フェリシモはトラックドライバーや事業者について「お客さまとフェリシモをつなぐ大切なパートナー」と位置づけており、2016年には配送課題の解決に向け「株式会社LOCCO(ロッコ)」を設立。2020年には配送員の負荷を増やさないための置き配サービス「OCCO(オッコ)」をスタートさせています。

文/BUY THE WAY lnc.

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